農家 牛山よし江さん

茅野市の食を巡る第3回。
前回の陶仙房さんに続いて、今回紹介するのは ”茅野市の農家 牛山よし江さん”さんをご紹介します。

初回放送日 : 2018/10/29 (月) / 出演 :  茅野市の農家 牛山よし江さん

〜野菜づくりを通して後世へと伝えたいもの〜

茅野市の食を巡る第3回。
牛山さんの畑は八ヶ岳を一望する蓼科高原に位置する。そこはまるで山々に守られているかのように野菜たちがのびのびと健やかに育っていた。
地域に根ざした豊かな食文化をつなげていくこと、それがこの茅野で食に関わる全ての方の願うところなのかもしれない。

茅野市の食文化を巡るシリーズの第三回。

取材日はよく晴れた日差しの強い日であった。
登り道のメルヘン街道(国道299号線)を右折し、幾度か道を曲がりながら教えられた通りの道を車で進んでいくと、つば広の大きな麦わら帽子に洒落たガーデニングスタイルの女性が大きく手を振っている姿が飛び込んできた。

それが牛山よし江さんであった。
牛山さん「よく来てくださったわね。暑かったでしょう?」

こちらを労い笑顏で出迎えてくれた牛山さんは71歳という年齢には到底見えない若々しいご婦人で、女性に年齢の話は失礼なことと甚だ承知の上で思わず
「牛山さんの若さの秘訣はなんですか?」聞いてしまったほど。

農業に携わる牛山さんの思いとは

牛山さんの畑は八ヶ岳を一望する蓼科高原に位置する。そこはまるで山々に守られているかのように野菜たちがのびのびと健やかに育っていた。
栽培しているのは枝豆やトマト、食用ほおずき、じゃがいも、なす、きゅうり、ブルーベリーなど。これら全ての野菜を牛山さん一人で作られている。

牛山さんの野菜はたてしな自由農園や先に紹介したギャラリーカフェ「陶仙房」さんで購入することができるという。大きな市場に卸しているわけでもなく、ましてや県外の流通に乗せているものでもない。

実は、牛山さんと「陶仙房」さんは野菜の取引だけの関係ではない。「陶仙房」オーナーの北條さんは、牛山さんの所有する土地を気に入り牛山さんから購入したのだという。

それだけでなく、互いに作品作り・野菜づくりという作りてとして培った経験を次世代へと継承していきたいという同じ思いを持っている。

牛山さんは語る。
「野菜づくりは見よう見まねです。学んだわけではないの。きっかけは夫が作ったトマトがそれはもう美味しかったから。とにかく美味しい野菜を作ろうって、そんな気持ちで始めたのよ。」

他にこだわりはあるのですか?と伺うと、
牛山さん「良し悪しではないと思うのだけれど、農薬は肌に合わないから使いません。自分が心地よく作業することも大切よね。」

「そしてね、私が培ってきた野菜づくりの経験を陶仙房で働いているような方たちや若い世代の人たちが引き継いでくれたらいいなと思っています。」

茅野食用ほおずきの会の一人としての取り組み

牛山さんが野菜づくりの中でも力を入れて栽培しているのは食用ほおずきだという。
実は牛山さん、「茅野食用ほおずきの会」のメンバーで、ほおずきジャムやほおずきのコンポート、ほおずきジュースなどオリジナルの商品開発も手がけている。

牛山さん「食用ほおずきって私はとても好きで美味しいと思うのだけれど、好き嫌いのある作物なのよね。でも、種を取り次いで作っているものなの。これも次世代へとつなげていきたいことの一つ。」

食用ほおずきを畑で栽培することで何故か鹿害にあわないのだとも言う。

食を通して次世代、それ以降も見据えた取り組み

牛山さんは農村体験をプログラムとした「ほっとステイ」という取り組みにも参加しており、都会からの児童を自身の畑に受け入れている。
児童たちは70代の牛山さんにとっては孫世代だ。

牛山さん
「今の子供たちは畑の楽しみ方を知らないと思うのよ。
だから、じゃがいも堀りとかトマト狩り、ブルーベリー摘み、いいとこ取りで畑の良さを知ってもらおうと思ってるの。暑い日には川遊びなんかもしてね」

取材に訪れた日は東京から訪れてきたという家族連れがブルーベリー摘みに訪れていた。
次世代、その次の世代が牛山さんのブルーベリー畑にいる様子は、牛山さんの思いがそのまま形になったようだ。
親子で楽しんだ夏の思い出は、子供たちの記憶に焼き付いて残ることだろう。

温かい眼差しで見守る牛山さんから、単に野菜づくりの経験を伝えていきたいという思いだけでなく、この土地の環境そのものを後世へと残していきたいのだと感じられた。 茅野市の食文化を巡る取材を通し、改めて、この地は食を通して子供たちが大切な経験をすることができる場所であり、また様々な繋がりが生まれる場所であるように感じられた。 地域に根ざした豊かな食文化をつなげていくこと、それがこの茅野で食に関わる全ての方の願うところなのかもしれない。

ちの食用ほおずきの会

文:中村恭子
一般社団法人蓼科塾代表/地産地消料理研究家
健康管理士/食育アドバイザー
2011年東京都より長野県茅野市に移住。料理教室の開催、地産の伝統野菜を紹介するイベントの企画・運営やそれらを使った料理・菓子のメニュー開発等を行う。2015年、信州の魅力を県外に発信する一般社団法人蓼科塾を設立し代表理事に就任。地産地消に根ざした商品開発やイベントの企画・運営等を手がける。

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